9kmのジョギングを終え、明石の駅前で2024年の手帳を買い、坂道をとぼとぼと歩いて帰宅しようとしていた。
すると、家と家のあいだから覗く2023年11月26日の月と目が合った。満月は明日らしいが、五線譜に重なって幽幻の世界を奏でようとする演出に心を奪われる。みるみる、音符は、鍵盤に舞う指の移動を促そうとした。
月の目指す音階に思いを馳せながら、振り返ると、今度は2023年11月26日の日没だった。太陽はこの地での今日の仕事を終え、どこか世界のおはようにリレーされていく。
月は家と家の間から、太陽はビルとビルの間へ。過去も未来も約束された軌跡で、星たちは永遠に誰かを魅了する。
2023年11月26日。うたびとは、せめて彼らの形に気付いたことを記して伝えたいと願った。